『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』雑感


女子フィギュア最大のスキャンダル!『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』特報

tonya-movie.jp

 

概要

アメリカ人女性初、史上二人目のトリプルアクセル成功者であるトーニャ・ハーディング。彼女が94年リレハンメルオリンピック出場権を得るために元夫等にライバル襲撃事件を命じたと疑惑の目を集めた、「ナンシー・ケリガン襲撃事件」は、衝撃的な事件としてマスコミの恰好のネタとなり、報道もエスカレートした。
しかし、全

 世界を揺るがしたスキャンダル・オン・アイスの真相を知っている人はどこまでいるのだろうか?本作ではトーニャの生い立ちから、大きな影響を与えた母親をはじめとする特殊な人間関係、疑惑の事件や、オリンピック競技中に審査員に涙で訴えるという靴紐問題までを追求。昨年のトロント国際映画祭で大きな話題を集め、アカデミー賞3部門ノミネート、ゴールデングローブ賞を受賞(助演女優賞)するなど賞レースを賑わせている。
いかにして事件が起きたのか、その真相に迫るにつれ若干23歳で世界のヒール役に転じた元スケーターの新たな顔が見えてくる。表情のプリンセスから犯罪者へ、人生の頂点からどん底へと突き落とされた彼女の想像を絶する人生は、悲しくもどこか愉快で、ワイルドでクレイジー。そんなトーニャの半生が、今スクリーンで明らかになる!

 

 

雑感

 伝記作品でありながらクレイジーなキャラクター(というか馬鹿か?)がクレイジーを呼び込むような展開。笑えるくらい全てがクレイジー。伝記にしてはあまりに常軌を逸していたために持たれるであろう「流石にこれは脚色が多いんじゃないか?」という疑念。それに対しあのラストの実写映像という渾身のアンサーが用意されていた構造は見事だったと思う。トーニャの生涯を広く包括していたし全体的に面白かったが、ある意味あれが一番の衝撃だったのではなかろうか。

 

 そんな反面、作中のスケールから「アメリカの、或いはフィギュアスケート界の中でのトーニャ・ハーディング」というスケールに目を移すと、貧しくも圧倒的な才能を持つ者(世界で2人目のトリプルアクセル成功!アメリカ人初、ヨーロッパ人もまだ)が結局貧しさ(広いニュアンスで)から脱することが出来なかった話で笑えない。そういった切実さも確かに内包する映画だった。

 

私自身はフィギュアに関しても事件当時の知識もなく、そういう意味においてはフラットな視線で本作を鑑賞したといえる。もしかしたら、このあたりの知識や記憶があったなら「いや、こんなの出鱈目だ。」と感じたかもしれない。そうでないとは言い切れない。

 本作の主題でもある事件に関しての私自身の見解を述べるならば、裁判所から言い渡された処分のみが唯一確かに真実だと言えるものだしとか言いようがない。